糖尿病治療の基本は食事療法
糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。食事療法では、栄養バランスの取れた食事を腹八分目までよく噛んで食べること、1日3食を規則正しいタイミングで食べることが理想的な食事方法です。単なるダイエットと勘違いしやすいかもしれませんが、単純なダイエットとは異なりカロリーを抑えればよいというわけではありません。
無計画に食べる量を減らしてしまい、栄養不足状態に陥ってしまうケースも目立ちます。空腹の時間が長引くと食後血糖値が一気に上昇しますので、食事の回数を減らすのは危険です。また、オカズを抜くのも逆効果です。
炭水化物は血糖値を上昇させますが、身体に必要な栄養源であることを忘れてはいけません。炭水化物だけになってしまう麺だけの食事は控えるべきですが、炭水化物を一切食べない食事方法もリスクを伴います。私も白米が好物なので、もし食べることができないルールを強いられたらストレスでおかしくなってしまいそうです。
自分で血糖値測定器で測定し、ご飯茶碗半分までなら食べても血糖値200を超えないと判明したので、自分に許された量を毎日味わって食べています。好きなご飯をお茶碗半分にセーブするのは、正直言うと辛いと感じることもあります。でも、1日3回は食べるのでさほど苦になりません。糖尿病悪化を心配してびくびくしながらどんぶり飯を食べていた不安な日々と比べても、食べても大丈夫な量が分かっている今は心置きなく食事を楽しんでいます。
血糖値測定器は運動療法でも役立つ
運動療法は食事療法と共に車の車輪に例えられますが、両方バランスよく生活に取り入れることが理想的です。身体を動かすことでカロリーをダイレクトに燃やすことができたら血糖値を下げるのにも効果を発揮します。継続すればするほど健康にもなれます。筋肉が鍛えられれば、糖も取り込まれやすくなります。運動療法を継続すれば、血糖値をコントロールしやすくなることは間違いありません。
ただ、残念ながら食事対策と同じように自己満足で終わってしまっているケースも少なくありません。私もかつてはやったりやらなかったり、運動量とペースにばらつきがありました。身体を動かしたことに妙に満足しいてしまい、いつも以上に食べてしまったこともあります。
そこでも血糖値測定器は活躍しました。血糖値測定器は食事療法と同じように、運動療法の時もよいナビになります。食事療法でも何をどれぐらい食べて良いのか分からないと、ご飯を食べる度にストレスになります。結局その日の気分でついついいい加減な気持ちになりがちです。血糖値測定器があれば、リアルタイムに血糖値の変動が分かるので最小限の努力で最大限の効果を引き出すことが可能です。
いつどれぐらい運動すればよい
私が本腰を入れて運動療法に取り組むことができなかったのは、やり方が分からなかったことも影響しています。糖尿病患者の9割は運動療法を行っていますが、調査でも医療スタッフからきちんと指導を受け正しい方法で実践しているのは半数以下だと判明しています。
一番取り組みやすいウォーキングを行う時も、歩数計だけでは不十分です。なぜなら運動する時間帯やその日の体調次第でも血糖値の反応に差が出るからです。どの時間帯でも身体を動かせば確かに血糖値は下がります。血糖値が一番高くなる食後のタイミングを狙うことで、血糖値上昇のピークを下げることができます。これは運動の急性効果によるものです。
私もどのタイミングで運動するのが一番血糖値対策に効果的なのかを検証するために、時間帯を変えてウォーキングをやってみました。食前1時間、食後1時間、食後3時間の3つのパターンで試したところ、食後3時間で歩き始めた時に血糖値が急降下することが分かりました。
ですが一気に下がり過ぎて食事内容によっては低血糖になる恐れがあると感じました。食前の運動はあまり効果が見られなかったので、今は食後の血糖値上昇のピークを抑えるために食べてから1時間後にウォーキングをスタートするようにしています。今は速度や歩く長さを検証中です。気軽に自己測定することができる血糖値測定器があると、「やった分だけ血糖値が下がっている」と自分の努力が視覚で確認できます。
本当に危険な低血糖
インスリンや経口治療薬を服用している患者さんは、自己測定が欠かせません。血糖値が70mg/dl未満で低血糖状態に陥ります。そうなってすぐに対応しないと、深刻な後遺症が残る事態に発展することもあります。血糖値は刻一刻と揺れ動き、同じ食べ物を同じ量食べていても体調次第で数値の変動パターンが変わります。
普段よりも頑張ってたくさん運動して食事量も制限したら、インスリンや経口治療薬の内服量を減らすことも考えなくてはなりません。深酒のせいで肝機能がダウンしている時も低血糖になりやすいので、血糖値が下がり過ぎていないかどうかリアルタイムで観察して事故を防がなくてはなりません。
就寝中に低血糖を起こし、朝家族が気づいて病院に連絡した時には手遅れになっているケースも報告されています。人間の脳は低血糖状態に弱いので、発作から何時間か放置していただけでも元の細胞を維持することが困難になります。正常な意識レベルには戻れなくなる可能性もおおいにあります。闇雲に血糖値を下げればよいと言うほど単純ではありません。